聴こえてくるのは、雨の音。

ある意味、避暑地(自分だけ)

2019-11-23から1日間の記事一覧

キミの話-第一章 vol,7

約束通り翌日はあまり待たせてはいけないと思い早めに亮介の家のある最寄り駅へ出向いた。二泊三日程度の荷物をボストンに詰めて、一駅手前で言われた通りにワンギリしておいた。駅に着くともう迎えに来てくれていて、驚いたのは髪の色だった。綺麗に黒く染…

キミの話-第一章 vol,6

今になって思う。何年もたって今になって思う。人には年齢がある。それでも生きる魂には、その時何を考えて、何を愛し、何を学んだか、それらが肉体とはまた別の、魂としての年齢を決めていくのだと思う。小さな大人もいれば、大きな子供もいる。亮介は世の…

キミの話-第一章 vol,5

よく眠った。本当によく眠った。丸くなっていた体をぎゅうっと伸ばすと足に何かが当たった。ん?これはなに?足でゴソゴソしていたら結構派手な音がして驚いて飛び起き、それが足の長い丸くてパカパカとするアメリカンなボーリング場にありそうな灰皿であっ…

キミの話-第一章 vol,4

始めてブラウザの外に出た亮介にあった。一緒の時間も過ごしたし、待ちわびるマサトからの着信も一切なかった。明けかける空に一日働いた体は悲鳴をあげていて、始発で帰ろう、帰って泥のように寝よう、そう思っていた。始発で帰るねと告げると亮介は 「俺、…

キミの話-第一章 vol,3

私と亮介は、亮介の行きつけだというダーツバーに行った。ダーツなんかするんだ…その恰好で?と何から何まで意外だったが、暗い店内に入ったら腰を落ち着けるか落ち着けないかで、マスターいつものね~と亮介が言った。それから私に好きなとこ座んなよ、と言…

キミの話-第一章 vol,2

久しぶりにマサトが連絡を寄こしてくれた。それなのにニコリともせず、あんな返事を投げつけた。ひどいものだった。好きならば自分が遊ばれていてもひとつ返事で"はい!喜んでー!"と飛びついていればいいのだ。なのにそれが出来なかった。好き過ぎたのだ。…

キミの話-第一章 vol,1

2004年、そろそろ夏も本番に入ろうかというある夜の事、最近全く連絡のつかないマサトからの連絡を待ちつつ、部屋で独り、ぼんやりとしたあかりをともしビールを飲んでいる時の事だった。箸も全く進まずで肴の刺身も急激に生ぬるく乾き、色がくすむ。その色…

キミの話-はじめに

いつかどこかでどんな形でも書いて形に残そう、例えばkindleで0円で そんな風に考えていました。 以前FBで書き綴っていたのですが書くたびに痛み、思い出すのも苦痛で途中でやめてしまいました。 続きが気になります、の声も、途中まででも胸が痛くなりまし…