聴こえてくるのは、雨の音。

ある意味、避暑地(自分だけ)

2019-12-08から1日間の記事一覧

キミの話-第三章 vol,2

遠藤さんが部屋をあとにしてから一人であの部屋にいるのも耐えられなくなって明け方に表に出た。秋を迎える気配の澄み渡ったしんとする駅前に、初めて私を待っていた時の亮介を思い出し、ガードレール代わりの手すりを触りに行ったり、二人で歩いた道を珈琲…

キミの話-第三章 vol,1

羽田から家に到着するまでの道のりをよく覚えているようで、あまり覚えていない。記憶、というのはその物を記憶しているというよりも、色が・光が・匂いが・温度が…と体中の五感を総動員してインプットされる物らしい。最近はてんでダメになってしまったが当…

キミの話-第二章 vol,19

一連の事は終わったものの、いつ戻ればよいのかも解らないしこれからどうしていけばよい物か、と、亮介のいない亮介が育った場所で考えていた。あの頃はしっかり眠った、という記憶がない。暗闇の中でもずっと目が開いていて、全ての感覚がおかしかった。急…

キミの話-第二章 vol,18

亮介の待つ家に戻る前に黒い服の上下を駅前で購入した。喪服なんて買う気にもならないし、買ったら色々認める事になるし、元々黒なんか着るような、持つような、そんなタイプでもない。何でもよかったし、どれでもよかった。どうせ一回着たら捨てる。見た目…