聴こえてくるのは、雨の音。

ある意味、避暑地(自分だけ)

2019-12-09から1日間の記事一覧

キミの話-第三章 vol,5

新宿の地下に潜った仕事はいつでも退屈だった。階段を下りたその先は薄暗く、隣の部屋との上と下が開いていて、それらの声が漏れて聞こえないようにガンガンに派手な音楽が鳴り響き、男物のYシャツみたいな一枚を与えられ、部屋には小さなシャワールームと簡…

キミの話-第三章 vol,4

誰からの着信にも一切でなかった。住所不定、無職、更には妊娠中。人を殺めた罪。目下悩みは、産むか堕ろすか。産婦人科の前まで行っては、やっぱり出来ない、と引き返す。ならば死んでしまった方が早い。一緒なら困らない。あっちの、世界を超えたどこか遠…

キミの話-第三章 vol,3

警察に保護された私を迎えに来てくれたのは遠藤さんで「あんた…」とあきれ顔だったけれど私を怒ったり叱ったりしなかった。 『私多分死んじゃった方がいいよ…ごめんね』 遠藤さんは何にも言わなかった。 「そいえばさぁ、いつこっちの部屋、引き渡すって?」…